
ひょんなことから転勤することになった。関西から東北に転勤である。1年の予定なので単身赴任ということになり、毎週末関西に帰ってこようと思っている。
そこで問題になるのが、移動手段と移動費である。PeachやSkymarkをうまく活用するのが最も安くはなる。ただLCCで往復しまくるだけなのもなんだかなぁと思い、せっかくならJALの上級会員JGCの取得を狙うかと思うに至った。ちなみに、ANAのSFCは取得済みである。
JGCとは
JGCとは、JALの上級会員のことで、ラウンジの利用や優先搭乗、キャンセル待ちの優先など色々なサービスを受けられる。よくJALを使ってくれるお得意様を贔屓にしてこれからもJALを使ってもらおうという制度である。ところが、JGC会員が増えすぎてラウンジが混雑しすぎるなど不満が増えたことや、おそらく増やしすぎるのも経営的に良くないということで、JGC取得条件は2024年からかなり厳しくなった。これまでは1年間で50回程度JALに乗ればJGCが取得できたわけだが、現行の制度では国内線だと300回飛行機に乗らないと取得できなくなっている。ただし、300回に期限はなく、何年かかってもよい。つまり、1年だとあまり飛行機に乗らないけど乗るときはJAL使っているという人にはJGCが狙いやすくなったわけだ。このあたりについては他に詳しく説明しているサイトが多数あるのでここでは割愛する。
JGCを目指す理由
私はANAのSFC会員を取得したこともあり、JALなどこれまでほぼ使用したことはなかった。SFC持ってればJGCはいらないと思っていたし、実際出張や旅行ではANAばかり使い、ANAのマイルを貯めている。ところが、最近はマイルを使った特典航空券が全く取れない。マイルを貯めても使えないのであれば意味がない。その点JALは全く取れないということはない。必要なマイルが変動性となっているため、マイルを大量に使えば取れたりもする。これはこれでどうかとも思うが、全く使えないよりはましだし、ANAで取れないけどJALなら取れるということもあるだろうから、リスク分散の観点からも今後JGCを狙うのもありかとは思っていた。
別にJGCを取らなくても旅はできるのだが、やはりラウンジが使えるというのは特に海外出張/旅行の際には非常に大きい。食事をしながらゆっくりできるのもそうだが、シャワーを浴びてさっぱりしてから飛行機に乗れるのはいいものである。
ということで、せっかく毎週飛行機にのる状況になったのであれば、LCCで無駄遣いするよりも、ちょっとくらい高くてもJGCへの投資に回そうと思ったわけである。
JGC達成条件
現在のJGCの達成条件は1500ライフステータスポイントを貯めることである。ライフステータスポイントは、搭乗とライフスタイルサービスの利用で貯めることになる。
搭乗で貯める
- 国内線は1搭乗5ポイント
- 国際線は1,000マイル区間につき5ポイント
である。
ライフスタイルサービスの利用
詳細はJALのHP ⧉に任せるが、この中で使えそうなのは、
- JALカードの利用: 2,000マイルで5ポイント
- JAL Wellness & Travel: 月550円で1ポイント
である。他のものは私のライフスタイルでは使いにくい。
マイルの利用
ライフステータスポイントはマイルを使った特典航空券では貯めることができない。しかし、マイルをeJALポイントに交換すれば、eJALポイントを使って航空券を購入することができ、この場合はライフステータスポイントを貯めることが可能となる。交換レートは10,000マイル→15,000eJALポイントで、1eJALポイント1円で使用できる。
実際に1年でどの程度のライフステータスポイントを貯めることができるか。
さて、では1年でどの程度のライフステータスポイントを貯めることができるだろうか。1年で50回仙台↔伊丹を往復すると仮定して計算してみる。
JALカードの選択
まず、JALカードの選定が必要である。JALカードは普通、CLUB-A、CLUB-Aゴールド、プラチナの4種類で、それぞれ以下の通りである。
普通カードは年会費がかからないが、マイルは溜まりにくい。CLUB-A以上は年会費がかかるが、搭乗ボーナスで25%のマイルがプラスされる。ショッピングマイルは、普通カードとCLUB-Aは還元率0.5%に対し、CLUB-Aゴールドとプラチナは還元率1%。もっとも、ショッピングマイルプレミアム(4,950円/年)を追加すれば、通常カードとCLUB-Aも還元率は1%となる。プラチナはアドオンマイルで航空券購入の場合は更に2%ついてトータル3%となる。しかし、プラチナの年会費は34,100円と高額だ(といってもプラチナカードとしては安い。ANAのプラチナは10万円前後かかる)。
JALカードの損益分岐点
年会費に対してマイル獲得によるメリットが上回るにはどの程度登場すればよいか検討する必要がある。
年会費 | 搭乗ボーナスマイル | 航空券購入時マイル還元率 | |
---|---|---|---|
普通 | 2,200 | 10% | 0.5% |
普通+ショッピングマイルプレミアム | 7,150 | 10% | 1.0% |
CLUB-A | 11,000 | 25% | 0.5% |
CLUB-A+ショッピングマイルプレミアム | 15,950 | 25% | 1.0% |
プラチナ | 34,100 | 25% | 3.0% |
CLUB-Aゴールドは比較から省く。CLUB-A+ショッピングマイルプレミアムと比較して、年会費が高いにも関わらずマイル還元率や搭乗ボーナスは変わらないためだ。
普通カードは初年度年会費無料であるが、1年でJGCを取得することは極めて困難なため、ここでは簡単のため2,200円で計算する。
これらのカードに対して、仙台-伊丹間で考える。
1回航空券を買うと10,871円。これに対して航空券購入でもらえるマイルと搭乗マイルがそれぞれ異なってくる。以下の表のとおりである。
航空券購入でもらえるマイル | 搭乗マイル | 合計 | |
---|---|---|---|
普通 | 54 | 327 | 381 |
普通+ショッピングマイルプレミアム | 108 | 371 | 479 |
CLUB-A | 54 | 371 | 425 |
CLUB-A+ショッピングマイルプレミアム | 108 | 371 | 479 |
プラチナ | 326 | 371 | 697 |
これらのマイルを貯めて10,000マイルに到達すればeJALポイント15,000に交換することができ、そこから航空券10,871円をポイントでゲットすることができる。ここでは簡単のために、7,248マイル溜まったら1.5倍の10,872eJALポイントがもらえ、1回の搭乗=5ライフステータスポイントがもらえることにして計算する。さらに、JALカード利用(航空券購入でもらえるマイル)2,000マイルごとに5ライフステータスポイントももらえることも考慮にいれなければならない。
これらを元に、何回搭乗した時にどのカードが最もライフステータスポイントを稼げるかを検討した。結果は以下のグラフである。
横軸を搭乗回数。縦軸を1円あたりに獲得できるライフステータスポイント(取得したライフステータスポイントをそれまでにかかった累積費用(年会費+搭乗券代)で割った値)で示している。つまり費用対効果である。費用対効果が大きくなるほど、コストパフォーマンスに優れているということとなる。
12回(6往復)までは、普通カードが一番コスパよくライフステータスポイントを貯めることが可能である。これは年会費が最も安いことが効いている。ただ、その後は一気に混戦模様である。マイルの交換のタイミングで上下するが、21回(11往復目)になるとその後はプラチナが最も効率良くライフステータスポイントを貯めることができるのがわかる。
意外なのは、普通カード+ショッピングマイルプレミアムが善戦している点である。国内線と短距離の比較となるので、搭乗ボーナスマイルが10%と25%でそれほど差がつかないのが原因であろう。プラチナが他を引き離して効率が良いのも、航空券購入でもらえるマイルが多いほど効率よくライフステータスポイントを稼ぐことが可能であることを示している。
今回は、年50往復(100回の搭乗)を見込んでいるので、プラチナ一択である。
搭乗でライフステータスポイントは何ポイント貯まるのか。
では、JALプラチナカードを作成し、1年で50往復(100搭乗)するとして、費用と得られるライフステータスポイントはどうなるであろうか。
計算の結果、92回自腹で搭乗すると、990,748円かかり、61,336マイル取得できる。
このマイルをeJALポイントに交換すると、60,000マイルを90,000eJALポイントに変換することができる。
これで8回分の航空券を購入できるので、合計100回搭乗したことになる。
この時もらえるライフステータスポイントは、
- 搭乗(搭乗1回5ポイント): 100 * 5 = 500
- ショッピングマイル(2000マイルで5ポイント): 990,748 * 0.03 / 2000 = 70
となり、合計570ポイント獲得できる。
ライフスタイルサービスで貯まるライフステータスポイント
日々の買い物をできる限りJALカードに集約する。
衣食住等の生活費で10万円/月をJALカードで支払ったとして、1000マイル/月貯めることができる。1年で12,000マイル=30ライフステータスポイントとなる。
JAL Wellness & Travelが月550円で1ポイントであるから、年間12ポイントとなる。
合計
上記を合計すると、1年で612ステータスポイントを貯めることが可能である。
まとめ
毎週仙台↔伊丹を往復し、100万円弱かけてもJGCにはまだまだ届かない。このペースで行けば2年半で到達することが可能であるが、単身赴任は1年の予定である。こんなことなら条件が変更される前に50万円ほど使ってJGC会員になっておいたほうが良かったと今更思うが、ANAのSFC会員を持っているので、JALは必要ないと思っていたので仕方ない。今でも必要かと言われればなんとも言えないが、せっかく飛行機に乗る必要性が出たので、せっかくなら有効活用して少しでもJGCに近づけるようにするだけである。2年目以降は、出張をなるべくJALでしつつ陸マイラーとしてコツコツ積み上げていけば、5,6年で到達できるのではないかと思っている。